学校日記

事業報告(教員の力量アップ事業)

公開日
2007/03/20
更新日
2007/03/20

「チーム学校」実現事業

4 事業名  教員の力量アップ事業   
(1) 目 的
   研究校の視察や外部講師を招聘しての授業研究により、本校教員の指導力向上を図り、授業改善を進める。

(2) 事業の概要
   ・県内および国内各地の先進校を全教員が年間1回以上視察研修し、それを生かした授業実践を行う。また、校内研修において優れた実践を紹介し、広める。
   ・学級担任は、研修テーマに基づき、年間1回以上研究授業を実施する。外部講師を招聘し、学習指導方法についての研修を深める。

(3) 実施状況及び成果
① 先進校視察
  ⅰ)全国小学校体育研究集会豊橋大会記念講演では、柔道の山口香さんが、オリンピックの舞台裏や選手育成のポイントについて楽しく話した。全国から集まった小学校の先生たちに対して「負けず嫌いの子供を育ててほしい。」というメッセージで講演 を締めくくっていた。公開授業は、豊橋市立芦原小学校で行われた。豊橋市では、市内の体育の授業では、授業の最初の15分間を使って体つくり運動を行っている。これに対して参加者からも様々な意見が出たが、市内一斉の取り組みというのはすばらしいと思った。6年生の水泳の授業では、一人一人が課題を持ち、一生懸命に取り組んでいる姿が印象的だった。

ⅱ)静岡大学付属浜松小学校
「自己を豊かにする」というテーマのもと、「全体計画」「単元構想」「授業構想」の3つの柱を立て、授業研究と実践を行っていた。授業の中に常に自己との関わりや自己を見つめる場面を設定し、「価値あるものを自分ごととしてとらえる」ことのできる子供の育成をめざしていた。図工の授業では、「自己表現のために創造的な技能を生み出す」ために、試行錯誤する姿が見られ感心させられた。

ⅲ) 北陸四県数学教育研究大会
    記念講演は、東京大学大学院数理科学研究科教授で、東京大学大学総合教育研究センター長の岡本和夫氏の「算数・数学力を伸ばすには」だった。最近の子供は空間認識が弱く、二次元に書かれた図形を読み取れないとか。図形を立体的に捉えられないというのだ。また、小学生の4割が天動説を信じているとの例示もあった。また、                ・計算力だけが学力ではない
       ・空間認識は先験的ではない  
   ・空間認識は中学校では遅い
    ・図形領域は論証の大切な課題
などと、コンピュータゲームの影響の懸念や、百マス計算の批判などをしていた。そして、分数のわり算については、「比の値」を小学校で学習しなくなって説明が難しくなったと指摘。具体的な例が出て、わかりやすかった。

ⅳ) 京都教育大学付属京都小学校
小中一貫教育として「9年生義務教育学校」に向けた教育システムの確立をめざしている。
   キャリア教育の具現化を図る新教科「サイエンス」「ランゲージ」「アントレプレナー」の授業が特色。実際に参観した「4年『ごんぎつね』を読む」の授業では、確かな学力の育成を図るという点から、言葉をとても大切に扱う授業で、言葉に基づきながら登場人物の心情の変化を読み取り、活発な意見交換が行われていた。授業の進め方が初めて見るもので大変新鮮で、板書の空白も意味を持つ無駄のない板書や、一文字一文字刻むように書く教師の姿勢等も大変勉強になった。「6年『変わり方のきまりをみつけて」では、宅急便という日常生活と関係深い題材を取り上げ、表や図などを使って課題解決にあたっていた。筋道だてて考える力がどの子にも育っており感心した。

ⅴ) 国立大学法人 信州大学教育学部附属長野小学校
   共同参観授業の社会は、1時間すべて話し合い活動で終わりました。米作りをしているお年寄りが田を手放すに当たって「農協に任せるか」「近所の人に任せるか」ということを、今まで調べてきたことをもとに、どちらがいいかということを話しあっている場面だった。子どもたちがそれぞれ根拠をあげながら、自分の意見を述べていました。田の持ち主の「田を大切にしてくれる人に託したい」という「大切」という視点が、何となくはっきりしないまま、子どもたちがひたすら自分の意見を出し合っていたという感じがした。話し合い活動における教師の役割について考えさせられた。
 
ⅵ) 京都市東九条地域小中合同研究発表会
   小学校3校中学校1校の小規模校4校合同による研究発表会に参加した。小中一貫教育の特区として、「なりたい自分になるための東九条リンゲージ・地域・人・学校」を共通主題に、研究を進めていた。特に教科を指定せず、学校ごとに国語や算数、英語活動、総合活動などで授業研究をしていた。参観した6年生の英語の授業では、中学校の英語教師とTTを組み、コミュニケーション能力の育成を大きな目標にして取り組んでいた。京都駅前の伝統校ではあるが、学校規模が本校と同じくらいで、英語の目標も似ているので、とても参考になった。1時間の授業の流れや文字の導入など、今後本校でも実施できるものが多くあると思った。

ⅶ) 福井大学教育地域科学部附属小学校
  授業では、子どもたちがひとつの対象「もの」「こと」に深くかかわり追究していくと、対象の本質に迫れると考え、子どもの本当の感動をめざしている。このような「本質が垣間見える授業」は、子どもたちどうしのかかわり合いの中で現出すると考え、研究テーマ「つながり合って育つ」を実践している。
   特に、 「つながり合って育つ」集団をつくる基盤 として、「聞き合える関係性」の構築をあげていた。参観した子どもたちの中に他者の言葉や表現を必要感を持って受け止めることによって、自分を変えていくという関係が自然に現れていた。「自己存在感」「自己効力感」を子どもが実感することによって、建設的な意見を述べたり、意欲的に取り組んだりする姿が見られた。

ⅷ) 東京学芸大学附属小金井小学校
   一人一人の理解やこだわり、あるいは経験や体験に裏打ちされたものの見方・考え方・感じ方を「子どもの論理」とし、自分の「論理」や仲間の多様な「論理」との違いに気付かせて自分の「論理」を見直し、修正、補完するとともに仲間との関係性をつくりかえることを促す相互作用のある学びをめざしている。
算数の授業では「数直線図の役割と系統性」に焦点を当て研究を進めていた。子どもたちは自分なりの考え方をしっかり持っていた。数直線を使うことで自分の考えを分かりやすく仲間に説明することができ、仲間の意見との関係も考えて学習を深めることができていた。
   また、教師が「もっとわかりやすくならないかな?」、「もっと便利で簡単なものは?」、「いつでも使えるかな?」という問いを大切にしていて、それによって子どもたちがより良い考えを導き出していく姿が見られた。



② 研究授業〈西山〉
ⅰ)3年 「かけ算」 5月19日
◎九九表にない「10列5行」のシールの数を、九九表やシール図を手がかりにしていろいろな方法で求めるとともに、分配法則について理解する。
・本時の課題が明確でなかったため、児童に何をするのか、何を求めればいいのか、教師のねらいが伝わらず、ゴールがバラバラになってしまった。
・発表した児童の考えはすべて黒板にはっておく。そうすることによって、それぞれの考えを比べる(類似点・相違点)ことができ、考えを深めていくことができる。

・本時の課題を明確にし、個々の児童が本時の授業では何をすればいいのか、ねらいをしっかりもてるようにする。
・座席表を有効活用し、練り合いできる授業を構成していく。


ⅱ)5年 「いろいろな四角形」 7月5日
◎一見台形とは思えない台形と典型的な台形の、それぞれの辺の長さ、角の大きさ、辺と辺の位置関係などを調べ、比較してみる中で、台形の定義と性質を知り、台形を手際よく書く。
・定義がはっきり理解できていなかったので、児童はどうなれば台形かという判断基準を持つことができず、操作活動にまごついていた。定義は先に教えておくべきこと。

・何のために操作活動を行うのか、本時では何を追求させるのか、教師の意図するものが児童に明確に伝わるような授業構想をたてる。


  ⅲ)4年「三角形」 9月28日
◎提示された三角形と合同な三角形を描くにはどうすればよいか、既習事項である三角形の描き方を活用して必要条件を見つけ、作図する中で、三角形を描くときの最少条件に気づく。
・本時のねらいは三角形を描くのが目的ではなく、描くために必要な最少条件を見つけ出すことだったが、児童は「最少限」という言葉を意識せず、たくさんの要素を使って作図していた。
・いろいろな考えを出し合い、比較・検討する際、意図的に指名していくとよい。
・算数科でめざしているものは「簡単に・正確に」できる方法、説明では算数の用語を使うなど、1年生の時から意識させていくことが大切である。

・個々の児童が、今日の授業は何をすればいいのか明確にとらえることができるよう、学習課題の言葉は十分に吟味する。
・何のための操作活動か、ねらいを明確におさえる。
・児童の発言をとらえたり、意図的な指名を行うなどして、授業展開の工夫を図る。