学校日記

“一隅”№5

公開日
2010/08/06
更新日
2010/08/06

校長メッセージ

−「大瀬の体験学習」に寄せて−※現在「大瀬満喫」と命名している学習です!
梶田叡一は現行の指導要領を継承した「総合的な学習の時間」に代表される体験学習を重視することを強調しています(朝日新聞「耕論 学習指導要領どう変える」2007.11.18)。
なぜ、総合学習が大事なのでしょうか。
座学でない実際の「こと」「もの」「ひと」を対象とした学習がそこにあるからだと思います。学習の主体は子どもです。教師側が教えた内容や量をどれだけ習得できたかを問う学習ではなく、まずは学習者である子どもが実際の体験によって直に感じ、考えたことを学習の土台に据え、次に発展的に得られた生の情報が子どもから発信され、様々な人々との交流が多様に展開される学習を通して、学習者である子どもが自らの生きる立ち位置を見定める学びが「総合学習」ではないでしょうか、私はそう捉えます。
ここ西浦地域だから体験できる内容を学習の中核に据えた平成20年度の総合学習、「西浦学習」は子どもたちに生きる力、自ら考え・自ら学ぶ力を付けるチャンスかと考えます。
BEGIN(ビギン)の「島人ぬ宝」(2003.アルバム「ビギンの一五一会」より)はこうした総合学習の値打ちを歌にしてくれていると思います。

僕が生まれたこの島の空を
僕はどれくらい知っているんだろう
輝く星も流れる雲も
名前を聞いてもわからない
でも僕は誰より 誰より知っている
悲しい時も 嬉しいときも
何度も見上げていたこの空を
教科書に書いてある事だけじゃわからない
大切な物がきっとここにあるはずさ
それが島人ぬ宝 ※2,3番の歌詞も素晴らしい!

知っているようで知らない、わかっているようでわからい身近な学習材、これは教科書には掲載されません。教科書は一般化された真理を子供達に分かりやすく伝えようと工夫されていますから、西浦固有の地域性に根ざした材は、教科書には載りません。だから自分たちで作るのです。ここ西浦でなくては経験できないことを材にした学習の成果をまとめていくのです。この特殊な事象を相手にした学びが一般的な真理と符合することに、いつか気づき、納得するはずです。
学びはこうしてそれぞれの子に固着し、生きていくときの礎になります。西浦に生活する子等にとって「大切な宝物」は何でしょうか。探そうではありませんか、教科書に書いていない本物の教材を。

8月29日(金)の夜(平成20年度)、西浦の各区長が月に一度集まる定例会に参加させていただき、4年生が11月の学校公開日に披露を計画している「大瀬祭りのお囃子(太鼓)」演奏への協力要請をして来ました。
結果、久連地区の保存会に協力していただけることになりました。
久連でない地域の方からは、「それぞれの地域は自分たちの地域のお囃子が一番だと思っている。久連の太鼓を習ってしまうと支障が出るのではないか。」という意見で出されましたが、「子どもは可塑性に優れ、教えれば全部覚えてくれる。地域により子どもに教えたくてもできないところもあるのだから、学校で一斉に教えてくれればありがたい。」とする意見により賛同を得ることができました。
さらには「大瀬祭りに学校として一隻船を出し、演奏してみたらどうか。」との提案も出されました。むろん「はい。」とは答えていませんが。
この学習も西浦ならではの材を掘り起こした、素晴らしい「大切な宝物」だと思います。
(平成20年9月1日)