学校日記

“一隅”№12

公開日
2010/08/13
更新日
2010/08/13

校長メッセージ

−テリトリー−

昔、雑誌かラジオでバッタに関する興味深い実験の話を知りました。ずっと私の心にひっかかっています。それは、普段おとなしい緑色のバッタを狭いところに一緒にさせると色が褐色に変色し、とても凶暴になってしまったという結果が出たという内容でした。
先日、朝日新聞にこのバッタの実験を神経系物質から解き明かした実験結果が紹介されていたので、なるほどと得心しました。
さらには、先日見た映画「青い鳥」のワンシーンを思い出しました。
それは、映画の舞台である中学校の校区を遠景で撮った何気ないシーンです。家々が間を置かず軒を連ねて建っている町並みの風景を映し出したシーンです。いじめが起きた問題を家の町並みだけに帰着はさせませんが、このバッタの大群、スペースの取り方と関連づけると、なんだか納得できる気がしてなりません。
人間や動物には一定のテリトリーが必要だと実感する出来事があります。K先生には気の毒なあの猪事件も「鹿」と「猪」のテリトリーの問題として猟友会の方々が理解されているという話にうなずきました。
狭い空間に閉じこめられると生き物に甚大な影響を及ぼす可能性は大です。
そう言えば、これも昔見たある雑誌の記事を思い出します。新しい校舎を建てた中学校の廊下の話でした。普通なら真っ直ぐに廊下をつくるのですが、この中学校はなんと廊下の何カ所かに隠れる場所を作ったというのです。すると、問題行動が減ったことを紹介した記事でした。
生き物とテリトリー。
棲み分けと隠れる場が及ぼすよい影響が読み取れます。
逆に、大人としてはこうした生き物の生得的な営みを理解していれば、集団行動を旨とする学校であっても、子どもの学ぶ場、生きる場として余裕のある場をこそ保障したいと思います。
積極的に広い場に子どもたちを連れていきたいものです。

(平成21年2月16日)