“一隅”№29
- 公開日
- 2010/08/26
- 更新日
- 2010/08/26
校長メッセージ
− いい授業 −
平成22年2月20日、三島市民生涯学習センターで開催された静岡県総合教育センター主催の公開講座「研究報告」の講演会のみ参加し、奈須正裕(上智大学教授)の「豊かな学力の確かな定着」を拝聴しました。
授業に対する熱い思いを感ずる学者でした。
私は10年ほど前、仙台市で2学期制を先行的に試行していた小学校を視察したことがあります。偶然、その学校は「総合的な学習の時間」の市の指定研究をしており、偶然にもその視察日が研究発表会の日でした。そして、指定研究の講師として招聘されていたのが奈須正裕だったのです。
昨年、9月30日に沼津原小が講師として奈須正裕を呼び、話しを聴く機会があると知り、研修主任Y先生に話しを聞きに行っていただきました。私の期待を裏切る教育的内容の濃い話だったとY先生から報告を受け、校内研修の資料として提出してもらいました。
さて、今回の奈須正裕の話から先生方に伝えたい点をいくつか紹介します。
①いい授業とは?
・授業者にも、子供たちにも、参観者にも、しみじみとしたものが残る授業(重松鷹泰)
・子どもにとって意味ある「活動」を通して、教師から見ても価値ある「内容」を実現する(授業)
※あれかこれかになっていないか?活動(子どもの都合)と内容(教師の都合)の折り合いをつけることを考えたい
教科の本質(内容)と子どものワクワク(活動)に折り合いをつける。
○感動する(体が動き出す)→発見、驚き、もっとやりたい、家でも続きをしたい、
人に伝えたい・しゃべりたい
・授業は美しい。イメージとして美的なもの、齋藤喜博は授業とは芸術的なものだといっている。
・脳みそから汗を出す授業を!放課後になったら思いっきり体を動かして遊ぶようなら授業はうまくいっていない。
・授業がうまくいくと子どもは変わる。授業がいいと子どもは落ち着く。
②校内研究とは?(校内研修)
授業を生業とする限り、人知れず授業に関して研究することは当たり前。研究は特別なことではない。冊子を作っても読んでない。そんな冊子を作ることが研究ではない。
自分で授業を振り返るために残す授業研究物には価値がある。自分のため、明日の子供たちのためにもっといい授業をしたいと考え、まとめることには価値がある。
③授業時数の問題
フィンランドをはじめ学力が高いといわれる国の授業時数は少ない。多くすれば学力があがるなどあり得ない。授業の質を高めることが大事。1時間で伸びる授業をめざせ!ポーンと跳び上がる授業、教育的瞬間をめざせ!単位授業時間の質を高め、濃くすること。
④めざす教師像に迫るために
学期に1本の単元でいいから子どもの活動と教科の内容が折り合う授業を実践すること、子どもはどの子も成長したがっている。
授業は難しい。すべることもある。エレガントにすべるようになろう。高みを求めて学び続ける教師に!
指導要領は批判的に吟味すること。なぜ、国語科授業で音読をさせる活動をさせるのか?先生が言うから授業として活動する子どもの情況から、活動が子どもに入り込み、主体的に動くように仕向ける授業を!
(平成22年2月23日)