“一隅”№32
- 公開日
- 2010/08/28
- 更新日
- 2010/08/28
校長メッセージ
− 本当に大切なもの −
平野啓子は沼津市出身の元NHKキャスターですので知っている方が多いはずです。朝日新聞静岡版に「インタビューしずおか」という連載記事があります。
平成22年3月11日は平野さんが登場していました。語り部として活躍される平野さんの話から授業の成り立ちと語りが非常に近いものであることがわかります。竹取物語などの文芸作品を暗唱し、舞台で語る活動を25年もされています。その語りの実際が授業に酷似しているのです。
「目線をお客様に投げかけながら語るのでアイコンタクトが自然と生まれ、客席から返ってくる、何か目に見えないものが感じられる」といいます。
「波動」だと平野さんは言います。
「それを感じながら次の言葉を語っていきます。ほんのちょっとずつ間が変わり、その場ならではの伝え方になっている」とも言います。
まさに授業です。教師が発する言葉を子どもが受け取り、やり返す時のことです。波動を感じながら授業をすれば、自ずと教師はその問いかけを変えたり、間合いを作ったり、待ちの時間を設けたりと波動が収斂される方向を探るのです。こうした作業、授業は分析的に捉えることも可能ではありますが、何回も鍛錬して習得する職人的技の一つです。波動は教室の「雰囲気」という表現で教育界では喧伝されています。
先の平野さんはインタビューに答えて言っています。
「何かを本音で語り合ったり、大事なことを伝えたりする時はやはり、ちゃんと向き合って、肉声で言葉を交わし合うことが大切」だと。「同じ空気を感じ」るから「信頼関係」がつくられるとも言っています。
どうでしょう。授業にうんと近いものを感じませんか。
(平成22年3月15日)