学校日記

ITと教育

公開日
2013/06/07
更新日
2013/06/07

校長のひとりごと

スマホに代表されるIT技術の進化速度は衰えることを知りません。
朝日新聞4月6日付けに「加速する人類の『進化』」が掲載されていました。夏野剛はドコモの「iモード」を開発してした人だそうです。冒頭、夏野は言います。「新聞を読まない。本を読まない。スマホばっかり—。今の若者をみて、人類は退化したなどと思う人こそ実は退化している。僕はこの15年で人類の進化は加速したと思う。」と。
夏野はその理由を3つ挙げます。
その1、「効率革命」
航空券の予約の75%はインターネット予約。15年前は旅行代理店に出向き、コールセンターに電話で予約していたビジネスの形が根本から変わったのです。金融・証券、そして紙媒体のデジタル化による効率化も進められています。
その2、「検索革命」
パソコン、スマホを使う個人の検索は一昔前の会社並みになっていて、個人も組織も情報収集能力で大差ない時代になりました。
その3、「情報発信革命」
情報発信能力が拡大したことを指します。ツイッターがその例です。夏野のつぶやきは13万人がフォローしているといいます。
この3つの情報革命により、情報の共有・蓄積・伝承の速度と量がとてつもなく速く、大きくなったことを夏野は指摘した上で「加速する人類の『進化』に追随できる政治や会社のあり方、個人の生き方に向けて、不断の見直しをしているかが、いまを生きる私たちには問われている。」と訴えています。
IT革命は教育界にも強い影響力を及ぼし始めています。3月6,7,8日付けの朝日新聞に、「教育をタダにするオンライン授業の衝撃」が特集されていました。近い将来が予見されます。
無料オンライン講座「ムーク」により、米マサチューセッツ工科大学の名物教授の10分程度に編集された講義を無料でどこにいても受講できるといいます。インターネット上です。
世界の一流の授業をオンラインで世界に無料発信する会社、「ユダシティー」も紹介されています。「既存の大学の存在意義を揺るがしかねない。必要なのは優れた授業をする講師で、大学の名前や権威ではない」ビジネスモデルが誕生しています。この会社を設立したのは、米スタンフォード大学のスラン教授です。講師たちは、「質問を繰り出して受講生の脳に入り込み、考えさせることが実にうまい。人が学ぶのは、教授の講義を聴いているときではなく、自分の力で考えている瞬間」だとスランは捉えます。
「反転授業」と呼ばれる授業が米国の大学で急速に広がっているともいいます。例えば、マサチューセッツ工科大学のオンライン動画授業を学生は自宅で視聴し、練習問題を各大学の教室で行う授業形態が反転授業と呼称されます。
教育機関「エデックス」はマサチューセッツ工科大学の教材を使った反転授業を行う2年制大学です。学長のアガルワルは「数百年もの間、教員は教壇からの講義を続けてきたが、オンライン講座をうまく利用すれば大学教育をより効果的なものにできる。」と表明しています。「グローバルキャンパス」と呼べる高等教育機関がIT革命により現実のものとなりつつあるようです。
反転授業を進めるオンライン講座の提供者の一人サルマン・カーンが創設した無料オンライン教育機関「カーンアカデミー」には毎月500万人を超える人が利用しているといいます。「自宅で動画を見ておけば、教室での時間を受け身でなく、能動的に使える。」点が有効だといいます。
現代の学校教育を批判的に見ます。「全員で一緒に進もうとするから落ちこぼれが生まれる。理解に時間のかかる子はゆっくり学べばいい。動画を使えば、自分のペースで何度でも見直すことで、しっかり理解したうえで先に進める。」と、これからの教育の変革を力説しています。
近い将来、上記のようなIT技術を使った授業が教育現場に降りてくる予感がします。
先んじる必要はありませんが、よい意味で時代の波を上手に取り入れるために必要なことは何なのか、一緒に考えていければと思います。