平和を考える小中学生作文集 第18集
- 公開日
- 2006/03/05
- 更新日
- 2024/02/14
6年生
「平和を考える小中学生作文集 第18集」に6年増田悠輔さんの作文が掲載されました。みなさんで読んでみてください。
「紅玉」から学んだこと
第三小学校 六年
増 田 悠 輔
この「紅玉」という本は戦争中の北海道の話です。作者の父は戦争
から帰ってきたばかりで、りんご畑のりんごのしゅうかくを楽しみに
していました。そのころは日本の軍隊につれてこられた中国人や朝鮮
人が石炭をほり出す重労働を強制的にやらされていました。ぼくはこ
のころの日本はものすごくざんぎやくだったんだなぁと少し思いま
す。その人たちはくさったジャガイモや魚のほねをたべていて三年の
間に数百人もの人が死んでいったそうです。父は戦争のことをよくしっ
ているからこそこの人たちのことがかわいそうでたまらなかったんで
す。しゅうかくがちかくなったある日の夜、父はりんご箱をつくりな
がら(もう戦争に行かなくてもいいのだ…)と思いました。この思い
は戦争はつらいから行きたくないという思いとりんごのしゅうかくを
楽しみにしているという思いの二つの思いが入っているのではないか
と思います。
九月のすえに初雪がふって、すみきった風がりんごのあまずっぱい
においをはこんでくるきせつになりました。父は心をはずませて村の
人たちに手伝いをたのんでまわりました。その日りんご畑がおそわれ
ました。数十人もの群しゅうが手あたりしだいりんごをもぎとってさ
わいでいました。しかも日本人ではありませんでした。その人たちは
重労働をさせられていた朝鮮人や中国人だったのです。父はとめよう
としました。しかし、日本人も中国大陸では朝鮮人などのぶたも馬も
牛もあらゆる作物をあたりまえにとっていくすがたをしっていたので
なかなかとめられなかったのです。
(りんごぐらいなんだ!)
父はそう思っていましたが、足がかってにうごきだしました。そのり
んごたちは、なえ木から育ててきた大切なりんごだったのですから。
父がりんご畑に入ると、やせこけている人たちがおしよせてきました。
もぎとった紅玉(りんご)にかぶりつきながら目をぎらつかせていま
した。父はかたことの中国語で必死にたのみました。
「オネガイダ、リンゴ、トランデクレ。リンゴウッテ、カゾク、ヤシ
ナウ。タノム、トランデクレ。」
つうじるかどうかも分からない中国語でした。しかし、一人の男が、
「引きあげるぞ! りんごは全部おいてゆけ!」
と言うとみんなうばいとったりんごをすべて父の足下においてゆきま
した。ぼくは、かえすという良心があるのに戦争をしてしまうという
ことは戦争は良心をおしつぶしてしまうんだなと思いました。こんな
ひさんなことを日本だけではなく世界全部がもうくりかえさないでほ
しいと思いました。