学校日記

“一隅”№6

公開日
2010/08/07
更新日
2010/08/07

校長メッセージ

− 子どもを知る、見る −
小野田正利氏、「モンスターペアレント」なる言葉が世間に流布し始めると同時に脚光を浴びている大阪大学大学院の教授です。
最近、フジテレビが火曜日の夜、「モンスーペアレント」を題材にテレビドラマを放映しています。米倉涼子が弁護士役で主演をしています。そろそろ最終回でしょうか?
番組を紹介するフジテレビのホームページには「モンスターペアレント(Monster parent)とは、学校に対して自己中心的で理不尽な要求を繰り返し、正常な学校運営を妨げる保護者を意味する和製英語である。当然、正当な要求や苦情を訴える保護者は、ここに含まれない。」という説明が掲載されています。
機会を得て、8月12日(平成20年)に静岡市のグランシップにて小野田氏の講演を拝聴することができました。早速、氏の著書『親はモンスターじゃない!』を購入しました。副題は「イチャモンはつながるチャンスだ」です。親を「モンスター」って呼ぶな!小野田氏は叫びます。
学校と保護者は子どもたちのために手をつなぎあえる関係を築くことが大事だと力説します。「一見すると無理難題要求と思われるような事柄の中に、保護者の思いが透けて見える場合が多くあります。肝心なことは『親が……』『教師が……』ではなく、『子どものため』をなおざりにせず、実のある道筋を探すことだ」と小野田氏は言います。
昨日(平成20年9月7日)、TBSの「さんまのからくりテレビ」を視聴していました。九州福岡の中学校の国語の先生が視聴者の希望により家庭訪問し、中学生の悩み事の相談を受けるコーナーを見ました。一人の女子中学生が小学校の時に手を挙げ、夏目漱石の「坊ちゃん」を「お坊ちゃん」と言ったらみんなに笑われたことがきっかけで、それ以来、手を挙げられなくなったという相談でした。
その先生は中学生に対し「5年間、さぞかし辛かったろう」と、涙を流しました。子どもの辛さを共感できる先生、なんと素敵でしょう。涙を流すかどうかは人それぞれ、感情表出の違いはあってよいのですが、その子どもの立場、辛さを共有しようとする先生の姿勢が素敵です。

小野田氏の考え方と福岡のこの先生の姿勢は同じ地平で深く結ばれていると私には思われます。

ここ、西浦小にも多かれ少なかれ様々な荷物を背負って、登校してきてくれる子がいるのではないでしょうか。常に最良の状態で学校に来る子の方が少ないはずです。必要以上に配慮することはありませんが、一人一人の子どもの背後を見ようとする努力や保護者とよく連絡を取り合って、子どものことを気遣うことは教育活動の中でもかなり優先されることだと思います。

「小規模校は子ども一人一人をよく見ることができると思っていたのですが。」と、1学期を振り返って、西浦小のある先生が言いました。子どもを「見る」とは言葉としては簡単に言えますが、実質的に「見る」ということはかなり難しいことだと思われます。私の師匠、安部先生は「見みすます」という言葉を使われていました。
特に困っている子どもをよく見る時には、可能な限り多くの目を注ぎたいと考えます。学校、家庭はもちろん、地域や専門的知見をもつ方にもです。そのためにも早めに情報を共有しましょう。第一報として「報連相カード」を活用してください。記録にも残せます。なぐり書きで結構です。学校体制で子どもを見る努力をしたいと思っています。
(平成20年9月8日)