“一隅”№9
- 公開日
- 2010/08/10
- 更新日
- 2010/08/10
校長メッセージ
−立命館小メソッド−
平成20年12/19の朝、西浦小前のバス停で降りた6年のAさんは、私を見るなりすぐこう言いました。「国語のことで教えてほしいことがあります。」「じゃあ、後で校長室においで。」私は返事しました。
AさんはMさんを従えてやってきました。国語辞典を片手に。相談の内容はこうでした。国語辞典で「軍備」を調べたら、同じページなのに2カ所に掲載されている「軍備」のフォントが違うのはどうしてなのか、という疑問でした。
ちょうど、平成20年12月8日付朝日新聞に「疑問解決モンジロー」のコーナーが「書写の教科書字体の違いは?」を特集していましたので、「字体」という言葉を説明し、新聞をコピーして渡しました。Aさんは昨夜、親にもこの疑問を聞いてもらったそうです。
ほどなく6年の教室を覗いてみると、全員が国語辞書を開いて夢中で調べていました。Hさんに、「何を調べているの?」と尋ねると、「目についてと手です。手は「て」と「た」です。」と答えてくれました。つかさず、先日購入した白川静の漢字の世界を紹介した理論社の『神様がくれた漢字たち』(山本史也、2004)の中に手の「てとた」について紹介していた項があったのを思い出し、担任に断ってからHさんを校長室に呼び、その本を渡しました。
平成20年12月5日、S先生とY先生は京都の立命館小に研修に行ってきました。立命館小、深谷圭助校長(平成20年当時)は「辞書引き学習法」を愛知県刈谷市の小学校で実践をし、立命館小の教頭として赴任された先生です。著書『立命館小学校メソッド』宝島社、2006、の中で、辞書引きの効果として、「自分から学ぶ態度を身につけられる」とし、「なぜだろう?、もっと知りたい!という思いにかられ、…略…自分の抱いた素朴な疑問を解き明かすことに夢中になる」(p37)と述べられています。
もっとも、深谷氏の実践の主眼は小学校1年生の辞書引きなのですが、西浦小の6年生でも、辞書引きからかなり有効な教育効果の具体を見ることができました。
(平成20年12月19日)