“一隅”№10
- 公開日
- 2010/08/11
- 更新日
- 2010/08/11
校長メッセージ
−「よい子」について−
静岡県教育委員会が発行している「Eジャーナルしずおか」平成20年12月5日号の「実践NOTE28」に磐田市教育委員会、Y指導主事の「心の扉−子どもの心のメッセージを受け止めるために−」が掲載されていました。
何でもできる「よい子」、A子の心をY先生がどう読み解いたかが述べられていました。
今年(平成20年)の夏、埼玉県川口市で中学校3年生の少女が自分の父親を惨殺する痛ましい事件が報道されました。その後、警察の取り調べでこの少女が供述した内容が新聞記事に取り上げられていました(朝日新聞、2008,8,8)。
・人の顔色を見て生きてるのに耐えられなくなった。
・人に合わせて、人から嫌われないように生きていくのに疲れてしまい、耐えられなか った。
・小学校高学年の頃から自分が他人からどう見られているかを強く気にしていた。
・両親によく思われたかった。
・期末の成績が親に分かると、自分も、怒った親も嫌な思いをする。その前に家族全員を殺して自殺すればいいと考えた。
よい子の心の内を本当に理解することは、簡単そうで難儀です。なぜなら「よい子」は私たち教師にとって都合がいいからです。
河合隼雄は『子どもと悪』(岩波書店、1997)の中で、「よい子」と大人の関係を次のように述べています。
「現代日本の親が子どもの教育に熱心なのはいいが、何とかして『よい子』をつくろうとし、そのためには『悪の排除』をすればよいと単純に考える誤りを犯している人が多すぎる。」
Y先生はA子とじっくり向き合いました。
「A子は、自分らしくしたいだけ」だとA子を理解し、小学校を卒業させたY先生に私たちは大いに学ぶ必要があります。
子どもを理解するということは、「言うは易し、行うは難し」です。そして、教育において一番大事な要です。
(平成20年12月19日)