“一隅”№33
- 公開日
- 2010/08/28
- 更新日
- 2010/08/28
校長メッセージ
− 生きる力って? −
佐藤芳之、新聞記事で初めて知りました(朝日新聞、GLOBE№34,2010,2,22)
マカダミアナッツを世界の市場に広げた第一人者だと紹介されています。
1974年、アフリカのケニアで現地の7人と立ち上げた会社、KNCは今、年商36億円、従業員も3500人を超えるそうです。昨年、36年間をかけて育てた会社の株を幹部社員に譲渡、経営もケニア人に委ねたそうです。「ここに来たのは、彼らが会社を経営できるよう、手助けするためだ。もう十分やっていける。」とする考え方によるのだとか。
「アフリカの人々を『安い労働力』としてではなく、この地に生きる一人ひとりの人間と見る哲学」が佐藤芳之の生き方、社長としての行動基盤だといいます。利益だけを追求せず、現地の人の生き様に係わるスタイル、例えば毎月25日の給料支払いの約束(遅刻、無断欠勤が激減)などを実施したのです。
教育の営みも佐藤芳之の経営と一脈通じます。
子ども一人一人が自活できるように仕向けることが「教育」でしょう。
佐藤芳之は黒沢明の「七人の侍」に描かれた7人の武士にあこがれるともいいます。戦国時代野武士の襲撃におびえる村人を雇われた7人の浪人が守り抜く活劇です。「ひとたび解決すれば静かに村から立ち去る」格好いい生き方がモデルだともいいます。
教師は立ち去らなくとも期限の制約があります。大抵1年です。特に小規模校の担任は1年だけです。立ち去るとき、子どもの自立、自活に益したかどうか、むろん1年は短すぎです。本来は義務教育9年間は必要ですが。少なくとも係わった1年間でどれだけ一人一人の成長に係われたかが大事です。
平成21年度が終わろうとしています。一人一人の学級の子たちに思いを馳せてみてください。その成長にどう係わったのかは、ひたすらその先生の存在が大事です。教師塾を構想する所以でもあります。
佐藤芳之曰く、自身の人生を振り返り、人間の生きる力は第1に「忍耐力」、第2に「体力」、第3に「運」だと回想しています。
私たちの生き様を振り返るとき、どうでしょうか、生きる力を三つあげよと問われたら。運は大切です。引き寄せられますよ。必ず。見てくれていますから。
(平成22年3月15日)