学校日記

“一隅”№4

公開日
2010/08/05
更新日
2010/08/05

校長メッセージ

−子どもにとって「基礎」とは−
坂東眞理子(昭和女子大学学長)の『女性の品格』が300万部のベストセラーだといいます。坂東は「個性」について記者のインタビューに答えて次のように言っています。
「当たり前のことを当たり前にやるということが子どもたちに浸透しなかった。個性はもちろん大事なのですが、それは基礎がしっかりあったうえでのこと。挨拶をする、遅刻をしない、授業時間は静かにする−そうした当たり前のことがあって、初めて美しい個性が花開くのではないでしょうか。」
教室での教師と子どもの関係にも触れ、次のように助言しています。
「教室にいる以上は静かにしろと叱るとか、宿題はやっていなければ立たせるとか、けじめをきちんとつけなければなりません。」
「学力はあくまでもひとつの分野。…中略…子どもたちを平均化しようという、日本の現在の教育は、子どもに自分の丈を知るチャンスを与えない、とんでもない教育です。子どもがかわいそうです。」(「総合教育技術」2008.7月号、小学館より)

前回紹介した西浦小学校評議員の皆さんの話と、板東氏の言う「当たり前のことを当たり前にやる」営みの大切さは一脈通じていると思います。改めてOさんのいう「「困った思い」や「不自由な思い」を子供たちに体験させ、乗り越えた時の成就感が本物の経験となって人を育てているのではないか」とするご意見に強く賛同します。
河合隼雄はこうした成長に必要な障害物を「インヒビター」と表現していました。ただ、困らせればいいということではありませんが、子どもの成長には大人が手をさしのべ支援しなければならないことと、障害を提供し、はい上がって生きる力を付ける両面が重要だということではないでしょうか。

(平成20年6月25日)