学校日記

3/30(火) LOVE。。 91

公開日
2021/03/30
更新日
2021/03/30

校長室発

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もうひとつの時間



ある夜、

友人とこんな話をしたことがある。


私たちは

アラスカの氷河の上で野営をしていて、

空は降るような星空だった。


オーロラを待っていたのだが、

その気配はなく、

雪の上に座って満天の星を眺めていた。


月は消え、

暗黒の世界に信じられぬ数の星がきらめいていた。


時おり、

その中を流れ星が長い線を引きながら落ちていった。



「これだけの星が

 毎晩東京で見られたらすごいだろうなあ・・・

 夜遅く、仕事に疲れた会社帰り、

 ふと見上げると、

 手の届きそうなところに宇宙がある。

 一日の終わりに、

 どんな奴だって、何かを考えるだろうな」



「いつか、

 ある人にこんなことを 聞かれたことがあるんだ。

 たとえば、

 こんな星空や

 泣けてくるような夕陽を一人で見ていたとするだろ。

 もし愛する人がいたら、

 その美しさや

 その時の気持ちをどんなふうに伝えるかって?」



「その人はこう言ったんだ。

 自分が変わってゆくことだって・・・

 その夕陽を見て、感動して、

 自分が変わってゆくことだと思うって」



人の一生の中で、

それぞれの時代に、

自然はさまざまなメッセージを送っている。


この世へやって来たばかりの子どもへも、

去ってゆこうとする老人にも、

同じ自然がそれぞれの物語を語りかけている。



BY 「旅をする木」星野道夫













すべてのものに平等に同じ時間が流れている。

             BY 星野道夫