学校日記

5月1日朝礼

公開日
2013/05/01
更新日
2013/05/01

校長からのメッセージ

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以下、本日の朝礼の話要約です。

 以前、皆さんに「人と人との関わりで、あなたが大切だと思うことは何ですか?」という問いかけをしました。それに対する皆さんの答えを担任の先生方からいくつか渡されました。回答を読みますと、なるほどと思えるものがたくさんありました。
 あいさつ、思いやり、優しさ、信頼、会話、言葉、コミュニケーション、協力、理解、感謝、礼儀、絆などの言葉を多くの人が書いてくれていました。読んでいくうちに、私自身の心が温まっていくように感じました。
これから5回にわたって、私が考える「人と人との関わりで、大切だ」と思われることを話していきたいと思っています。今日は皆さんが書いてくれた中の「優しさ」とか「思いやり」について話したいと思います。この「優しさ」や「思いやり」は、昔から人と人との間で一番大切な心と言われてきたものです。それを昔の人はどんな言葉で表現してきたかというと、今日用意してきましたが、この漢字です。後ろの方見えますか? 見えるけれど読めないという人もいるかもしれません。これは、「仁(じん)」と読みます。聞いたことがあるかもしれませんね。これは、人偏に二という字を付け加えてできています。右から読むと二人と読めますね。二人になると大切な心は「仁」つまり「思いやりですよ」ということを言っていると思います。
 今日は、「仁」について話をしようと思っていたところ、 先ほど表彰がありましたが、この連休中にいくつかの部の大会を見ました。その中で、私は試合に出て活躍している選手も見ましたが、それを応援している人の姿も見ました。一生懸命プレイしている仲間に対して、 本当に大きな声で声援している人、声かけしている人がたくさんいました。そのような姿を見ていて、私も皆さんの年頃のことを思い出し、私にも同じような光景があったなと思い、今日は自分のことですがお話ししたいと思います。
中学3年生になって、しばらくした後、6月だったと思います。私は当時野球部に所属していまして、ショートをやっていましたが、監督の先生に昼休みに職員室に来るように言われました。「何の話かな?」と思いながら職員室に入りました。先生の所に行くと、「エースのI君が調子が悪い。肘も痛いので、お前が代わりにこれから投げなさい。」と言われました。バッティンピッチャーはよくやっていましたが、本格的に試合に出てマウンドに立って投げるなんてことは1回もやっていませんでした。そして、投げる球もそれほど速くなく、打ちやすい球だなと思っていました。そんな私に監督の先生は、「ピッチャーをやれ」と言ったわけです。その時、「はい」という返事はしましたが、自分の中では、「やったことがないし、中体連まで1ヶ月しかないし、困ったな。」と思っていました。それを同じ学級のO君が伝え聞いて、「芝、それじゃ、朝俺が受けてやるから、ピッチング練習やろう。」と言ってくれました。「じゃ、頼むな。」ということで、朝のピッチング練習が始まりました。当時は朝練というものはなくて、グランドはほとんど無人のような状態でした。そのような中で、二人のピッチング練習でした。そのO君は、内野手ですが、キャッチャーというポジションではありませんでした。そのO君が毎日毎日私に付き合ってボールを受けてくれたのです。ボールは相変わらずの遅さですが、少しずつ少しずつボールのコントロールが取れるようになってきました。変化球にも調整しましたが、カーブは何度も試しましたが、まったく曲がらずだめでした。しょうがないので、当時あまり投げる人がいないナックルというボールを投げていました。この2種類しかありませんでした。それで、中体連に向かいました。
  中体連直前には、正キャッチャーが虫垂炎、つまり盲腸になってしまうというハプニングがありました。そして迎えた中体連、試合中いくつもピンチが訪れました。その度にベンチから大きなO君の声がびんびん聞こえてきます。「芝!落ち着いていけ!」とか「芝!我慢我慢。ここは辛抱だぞ!」とか大きな声が私の耳に届きました。私は仲がいいから、そのように声援してくれるんだなあと当時思っていました。しかし、自分のポジションでもないキャッチャーをしてくれたり、大きな声で声援をしてくれたということは、きっと自分が試合に出たかったんですね。しかし出場できないということが分かった中で、自分の悔しい気持ちを私に託して、いろいろやってくれたんんだなと今思います。そこには、やっぱり「仁」という言葉につながるかわかりませんが、私への思いやり、思いやる気持ちがあったんだなと思います。そんなO君や他の人たちからの声援などありまして思いがけないことですが、市内優勝、東部3位となり、虫垂炎だった正キャッチャーも戻ってきまして、県大会に出場することができました。県大会でも4位となりました。このように、びっくりするぐらいのよい成績を残すことができました。このような成績を収めることができたのは、自分一人の力ではなく多くの人々、O君の思いがあったからこそ、できたことだと思っています。
 最後に皆さんに伝えたいことは、こんなことがありましたよということとともに、皆さんも、二度とない中学校生活において 、3年生はあと11ヶ月しかありませんね、その中でこういった思いを友だちに寄せて、お互いに成長していくという経験をぜひしてもらいたいなと願っています。今の話は、一つの例です。学級の中で、学年の中で、部活の中で、色々なところで、こういう温かい気持ち、思いやる気持ちを、それぞれが自分の中で育んでいけば、きっといい経験ができると思いますし、その後の人生にもプラスになると思います。ぜひ、この「仁」の心を自分の中で育んでください。以上で、本日の話を終えます。