3学期始業式(2)1月6日
- 公開日
- 2022/01/06
- 更新日
- 2022/01/06
行事
〈校長式辞〉
明けましておめでとうございます。寅年になりました。年末年始はどう過ごしましたか。
わたしは、ラジオで第九十八回東京箱根間往復大学駅伝競走を聴いていました。青山学院大学が大会新記録で総合優勝。圧倒的な強さでびっくりしました。原晋監督は、優勝インタビューの中で、「自分で律する自律。自ら考え、行動し、そして課題に向き合って前へ進む姿勢」を強調されていました。
今朝は、その「自律」について話します。
心が折れないようにするにはどうしたらよいでしょう。緊張感や苦痛の時でも平常心を保つにはどうしたらよいでしょう。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は、そのためには「自律神経を整えること」、つまり、「前向きに、心穏やかにいること」が重要であるとおっしゃっています。
その秘訣を四つご紹介します。
第一は、「ゆっくり動き、ゆっくり話す」。忙しくてバタバタしていると思ったら、立ち止まって一つ一つの動作をゆっくり行います。そうすることで、呼吸をする自分が意識できます。呼吸を深くすることで自律神経が整い、血流がよくなり、見える景色が変わってくるのだそうです。そして、ゆっくり話すことによって、相手が聞く耳を持ってくれるようになります。コントロールされている口調というのは、相手も聞きやすいし理解しやすくて受け入れやすいからなのです。ですから、ゆっくり話すことで、日常生活でも仕事の面でも絶対によい結果に結びつきます。
第二は、「一日三十分、自分を緩める」。自分のための自由な時間をもつことで、呼吸が整います。余裕をもつことで周りが見えるようになれば、次のステップへのよいスタートになります。たとえやることがいっぱいある場合でも、三十分ならば、あまり影響は出ません。
第三は、「心の器を知る」。対人関係で無理をしないということです。嫌なら断ることが大切です。自分が想像しているほど相手は気にしていないのです。くよくよせず、断り上手になることが大切です。
第四は、「見ざる聞かざる言わざる」。いろんなことが見えてきたり聞こえたきたりすると、隣の芝生が碧く見えてきてしまう。気になったり、うらやましくなったり、ジェラシーも出てきて、心が乱されてしまう。余計なことを言わないことも大切です。人のうわさ話や悪口を口走らない。人をほめていると自分も気分がいいものです。
小林教授は、自律神経を整えるためにも、未来日記を提唱していらっしゃいます。「未来を予想して、未来の計画を立てて、実行してなし得た時の自分を想像する」という日記を書くことです。以前、朝礼で紹介した、石黒由美子さんの「夢ノート」と似ています。
そこで、再び、青山学院大学の原晋監督の言葉を思い出しました。それは、「覚悟」です。
「自分はなにをするのかが定まれば、自然に歯止めがかかる。だからこそ私は、選手たちに『覚悟』を強く求めています。なんとしても結果を出すという強い覚悟がなければ、なかなか練習に身が入らないし、結果にもつながらないものです。なぜなら、『人は怠ける動物』だからです。」「自分はなんのためにここにいるのかをはっきり認識していれば、歯止めは自然にかかるからです」。こうおっしゃっています。
毎日を心穏やかに過ごすように努めながら、自分の未来を想像して計画を立て、覚悟をもって着実に実行していく。「自律」とは、そういうことなのではないでしょうか。
三か月後、あなたが歩んできた道を振り返った時、きっと、その足跡の大きさに気づくことでしょう。三学期の皆さんのさらなる成長を願っています。